公開日: |最終更新日時:
産業用インクジェットプリンターは、食品や医薬品などの賞味期限やロット番号を高速で印字できる装置です。近年は、印字内容を自動で読み取り、正しく印字できているかどうかを確認する文字認識(OCR)技術との連携が進んでおり、印字ミスによる自主回収リスクを減らす取り組みとして注目されています。
文字認識と一口に言っても、読み取りを目的とする技術と、正誤の判定を目的とする技術とでは役割が異なります。まずは基本的な用語の違いと、インクジェット印字の現場でこうした技術が必要とされる背景を整理します。
OCR(光学文字認識)とは、印字された文字を画像から読み取り、テキストデータに変換する技術です。一方でOCV(光学文字検証)は、読み取った文字があらかじめ登録しておいた正解データ(賞味期限やロット番号など)と一致しているかどうかを判定する技術を指します。
産業用の印字検査ラインでは、OCRで文字情報を抽出したうえでOCV判定まで行う一体型の検査システムが主流になりつつあります。
産業用インクジェットプリンター(IJP)は高速印字に対応できる一方、ノズルの目詰まりによる「かすれ」や「文字欠け」、担当者の設定ミスによる日付のズレなどが一定の確率で発生してしまいます。
こうした不具合は、担当者が一つひとつ肉眼で確認しきれないまま生産ラインを流れてしまうことも少なくありません。こうした印字不良を見逃さない仕組みとして、文字認識技術への関心が高まっています。
文字認識機能をインクジェットプリンターと組み合わせることで、品質保証・省人化・記録管理という3つの観点から効果が期待できます。具体的にどのようなメリットがあるのか、順番に見ていきましょう。
誤印字や文字欠けが発生した際、カメラと文字認識機能によってリアルタイムで検出し、不良品を自動的にライン外へ排出する仕組みが一般的です。
印字不良品の流出を未然に防ぐことで、自主回収に伴う回収費用や再包装の手間、行政への報告対応といった負担を避けられます。食品衛生法に関わる自主回収では自治体を通じて国への報告が義務づけられており、内容は公的なリコール情報として公開されることも踏まえておく必要があります。
高速で流れる製品をすべて人の目で確認することは現実的ではなく、集中力が続かなければ見落としが生じる可能性があります。文字認識による自動検査を取り入れることで、見落としなどのヒューマンエラーを減らしながら、検査にあたる人員を抑えることができます。
限られた人員を他の工程に配置できるようになり、人手不足が続く製造現場にとって有効な対策のひとつといえます。
文字認識検査装置の多くは、読み取り結果やNG画像を装置内や上位システムへ自動的に保存する機能を備えています。いつ、どのような不良が発生したかを記録として残せるため、後からの原因追跡や工程改善に役立ちます。取引先から問い合わせを受けた際にも、保存された画像やデータをもとに状況を確認できるので、現場の安心材料にもつながります。
文字認識技術は万能ではなく、印字の形式や周辺の環境によって読み取り精度が左右されることがあります。導入を検討する際は、良い面だけでなく課題も把握したうえで判断することが大切です。ここでは代表的な課題と、その対策として進んでいる技術動向を紹介します。
インクジェット特有のドット状の文字や、透明フィルム・柄付きパッケージなど背景に模様がある包装では、文字を正しく読み取りにくくなる場合があります。
こうした課題への対策として、文字と背景のコントラストが低い場合にも対応できるAIを用いた文字認識や、文字の太さ・位置のばらつきをある程度許容する照合方式、撮像時の照明のムラを補正する技術などの開発が進んでいます。
取り扱う製品が切り替わるたびに、プリンター側の印字データと検査装置側の設定をそれぞれ個別に変更していると、どちらか一方の設定漏れによるミスが起こりやすくなります。特に多品種を扱うラインでは、切り替えの回数が多いほどヒューマンエラーの起こる機会も増えてしまいます。
プリンターと検査装置の設定を同期させる仕組みを取り入れることで、現場での作業手順を減らし、設定ミスの防止につなげることができます。
文字認識機能の導入を検討する際は、価格だけで比較するのではなく、自社のライン環境に合った仕組みかどうかを確認することが重要です。ここでは、実際に装置を選ぶ場面で押さえておきたい2つの視点を紹介します。
プリンターメーカー自身が検査装置まで自社で提供しているか、あるいはサードパーティ製カメラとの接続実績(インターフェース)が豊富かどうかは、導入後の運用のしやすさに関わります。プリンターと検査装置を一体的に提案できるかを確認しておくと、設定の連携や保守の面で安心につながります。
国内のプリンター関連メーカーの中にも、それぞれ異なる強みを持つ製品がありますので、自社のライン構成に合うかどうかは、各社の資料や公式サイトで最新の仕様を確認してみましょう。
検査装置の処理速度が、自社の製造ラインの搬送速度に対応できるかどうかは事前に確認してください。処理が追いつかなければ、検査自体がボトルネックとなり生産効率を下げてしまう恐れもあります。
あわせて、カメラや照明を設置するためのスペースを既存のライン上に確保できるかどうかも、レイアウトを含めて検討しておきたいポイントです。
産業用インクジェットプリンターにおいて、単に文字を「印字する」だけでなく、正しく印字されているかどうかを自動で検証することは、品質保証の基本的な取り組みのひとつになりつつあります。自社のライン環境に合った仕組みかどうかは製品によって異なりますので、実機によるデモや、実際のワークを使った読み取りテスト(評価検証)を通じて、導入前に確認することをおすすめします。気になる方は、各メーカーへの問い合わせから始めてみましょう。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由