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産業用インクジェットプリンター(IJP)は、対象物に触れずに印字できる「非接触」が最大の強みです。しかし厚紙印刷においては、紙特有の吸収ムラや乾燥時の反りが品質を左右する課題となります。
ここでは、厚紙に高精度な印字をするための基礎知識と、導入時に押さえたいポイントを解説します。
厚紙に印字するためには、一般的な紙とは異なる性質を理解する必要があります。厚紙は繊維の密度や表面処理のバリエーションが豊富なため、インクの定着性とヘッドとの物理的な干渉をいかに制御するかがポイントです。4つの技術的要素から解説します。
厚紙印刷では水性インクの使用が一般的ですが、表面が粗い素材や加工紙ではインクが浸透しすぎたり、逆に弾かれたりすることがあります。
そのため速乾性に優れたUVインク(紫外線効果インク)の採用が推奨されるケースが増えています。一方、クラフト紙のような吸収率が高い素材に鮮明な印字を行う場合には、発色の良い染料インクを選択することで、視認性の高いマーキングが可能となります。
通常の印字ではヘッドと素材の距離は5〜10㎜程度ですが、厚紙の場合は15〜30㎜程度まで拡大して運用します。
厚紙が湿度の変化やインクの水分によって「反り」を生じやすいためで、ヘッドとの接触事故(ヘッドクラッシュ)を防ぐためにも、Z軸調整機能(高さ調整)を搭載したヘッドの選定が、厚紙印刷において不可欠の条件といえるでしょう。
厚紙の印字品質を安定させるカギは、搬送中の平坦化にあります。多くの現場では真空吸着機能を備えたコンベアを使用し、紙面をテーブルに密着させて浮き上がりを防止しています。
また厚さ10㎜を超える極厚のボードや多段積層された状態でも、安定して搬送・保持できる専用テーブルの活用が、歩留まりの改善に直結します。
産業用ラインでは、最大100m/分という高速搬送の中、バーコードやロット番号を正確に印字する能力が求められます。現在の高精度ピエゾヘッドであれば、600dpi以上の高解像度を維持したまま高速印字が可能。
これにより物流のトレーサビリティに不可欠な2次元コードなども、読み取りエラーのない鮮明な状態で大量生産できます。
厚紙印刷の現場で頻発するトラブルには、事前の適切な機器選定と設定変更で対処が可能です。以下の表に、代表的な課題とその解決策をまとめました。
| 課題 | 対策 | 効果 |
|---|---|---|
| インクにじみ | ドロップ制御(ピエゾ方式)、乾燥ランプ併用 | 鮮明度向上 |
| 反り・浮き | プレスローラー+真空チャック、湿度制御 | 安定供給率 |
| 色ムラ | 複数ヘッド配列、キャリブレーションソフト | 均一性確保 |
| メンテ | 耐擦傷コーティングインク、自動洗浄機能 | ダウンタイム減 |
厚紙印刷のシステム構成は、生産形態によって大きく2つのタイプに分けられます。
1つは素材を固定してヘッドが動く「フラットベッド型」。厚みのある箱や小ロットの包装資材への印字に適しています。
もう1つはベルト上を流れる素材に印字する「ローラーコンベア型」です。連続供給が可能で、速度同期用のエンコーダーを使用することでズレのない印字を実現します。
具体例として、飲料カートン工場では搬送ラインにピエゾ式IJPを組み込み、厚紙の下面へのマーキングを自動化することで、梱包後の検品作業を劇的に効率化させています。
厚紙への印字は、素材の特性に合わせたインク選びと、搬送環境の整備重要なポイントです。産業用インクジェットプリンターは進化を続けており、真空吸着やZ軸調整機能の活用により高精細印字が可能となりました。
コスト削減や生産性向上を目指すなら、自社の取り扱う髪質と厚みに最適なスペックを見極めることが大切です。専門メーカーの事例を参考に、最適な一台を検討してみましょう。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由