産業用インクジェットプリンターに使用する染料インクと顔料インクには、どのような違いがあるのでしょうか。
インクの特徴と注意点を解説します。
染料インクは、産業用インクジェットプリンターには最も一般的なインクです。染料インクは汎用性があり、多くの用途に使用できます。
染料インクの特徴は、印字対象物の色が透けて見えることです。そのため、対象物が明るい色であれば問題なく印字できますが、印字対象物が暗い場合は、明るい色のインクを使用する必要があります。
可塑剤が含まれているプラスチック上に染料インクで印字した場合、時間が経つと染料インクが溶解して滲んでしまう可能性もあります。時間の経過とともに文字が不明瞭になってしまうので注意しなければなりません。
染料インクによる印字の滲みが気になる場合は、顔料インクが適しています。顔料インクは懸濁液中の小さな粒子として存在しており、溶液には溶けません。滲んだり消えたりしにくいため、滲みやすい素材にも使用できます。
顔料インクの粒子は直径1ミクロン以下と、インクジェットプリンターのノズルよりも小さな粒子でできているため、簡単にノズルがつまるようなこともありません。
顔料の粒子が小さすぎると不透明感が低下し、大きすぎるとノズルがつまる可能性があるため、粒子のサイズは制御する必要があります。
顔料インクの耐候性のレベルはさまざまです。染料インクと比べると光や熱に対する耐性が高く、保管環境や使用時の熱プロセスや光を伴う用途にも使用できます。
光や熱の耐性が優れているため、屋外で使用される対象物への印字には顔料インクが適しています。例えば、屋外で保管される押型成型パイプや太陽にさらされるアルミ窓枠などは、顔料インクの印字の方が長持ちします。
また、耐薬性にも優れており、香料やエアロゾルなどの製品と接触しても顔料が溶けることはありません。
顔料インクの維持・メンテナンスにおいては、以下の点に注意してください。
顔料の沈殿を防ぐために、撹拌機が装備されているインクジェットプリンターがあります。撹拌機はプリンターの電源が入っていない時も稼働させる必要があるうえに、故障しやすいというリスクがあります。
インクジェットプリンターの種類によっては、循環システムによって顔料の粒子を分散させている場合もあります。
通常のインクジェットプリンターでも顔料インクは利用できますが、顔料が多いインクの場合は、特殊なプリンターが必要になるケースもあります。いずれにしても、手順に沿ってメンテナンスを行うことが重要になります。
顔料インクの中には、50ナノメーターから数ミクロンの粒子が分散しています。顔料は染料よりも粒子が大きいため、インクジェットプリンターが顔料インクで目詰まりを起こしやすいのが弱点です。目詰まりを防ぐには、粒子を安定化させることが重要になります。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
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