大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
印刷不良を減らす理由
アルミパウチへの印字がメインとなる、レトルト食品やレトルトカレーの印字について紹介しています。
レトルト食品は長期保存が目的とされるものもあり、印字直後の蒸気殺菌や熱水シャワー殺菌にも対応したインクの使用が重要となってきます。
公式サイトに導入事例は見つかりませんでした。
ブラザーインダストリアルプリンティングの公式サイトの食品メーカーの事例です。有機溶剤を用いた製造年月日のマーキングをしていましたが、労働基準監督署の基準により有機溶剤対策するよう指示が入り、工場を設置するか新たな設備を整えるか決めなければなりませんでした。
そこで、有機溶剤インクを使用しない設備への変更を検討。産業用インクジェットプリンタドミノAシリーズA120を導入。印字直後の40分に及ぶ高温の殺菌にも強く速乾性・粘着性の高さ、脱有機溶剤(脱MEK)のアルコール系インクであること、メンテナンス時の廃棄溶剤が従来のインクより少なく済むことが決めてとなりました。
最終的には10台以上のインクジェットプリンターを導入し、活用しています。
他社のインクジェットプリンターを使用していたが、プリンターに不具合が出るたびにメーカーへ相談して修理せねばならず、定期メンテナンス以外にも工数のかかる対応をしなければならなかった。
そこで日立産機システムへ相談し、定額で定期メンテナンスや修理予約が行える「IJP保守契約サポートPlus」を導入。急な不具合にも少ない待ち時間で対応できるため、社内での工数も減り結果的に業務の効率化につながりました。
突然の不具合は避けられないものですが、不具合時の対応があらかじめわかりやすいこと、メンテナンスなどのサポートが定額で受けられることは費用や人的コストの削減のみならず生産性向上にもつながりました。
レトルト食品は中身を完全に加熱殺菌して密封することから、保存性に優れながら高い安全性を担保されている食品です。レトルト食品のパッケージには袋状のものである「パウチ」やトレー状の成形容器などがありますが、中身である食品の形状や使用目的、保存環境・保存期間などの条件によって使い分けることになります。レトルト容器における印刷は、グラビア印刷によって直接パッケージに印刷したあとにラミネート加工を行うものや印刷ラベルを貼るもの、デジタル印刷で直接パッケージに印刷を行うものなどがあります。
レトルト食品のパッケージを取り扱うにあたって気を付けておくべき点として「殺菌工程」があります。レトルト食品は気密性のある包装容器に詰めて密封もしくはシールしたあと加圧加熱殺菌を行うことになります。この加圧加熱殺菌とはレトルト釜によって高温高圧殺菌を行う工程であり、100度以上の高温・高圧で殺菌する「レトルト殺菌」を行うこともあるため、素材・印字ともにそういった環境に耐えうるものである必要があります。
あらゆる業界で環境問題が叫ばれる昨今、レトルト食品の包装に関しても「プラスチック製容器包装の資源循環対応」が求められています。国際的にプラスチックごみは減らすべきという考えが広がりつつある中、こういった容器包装は食品の安全衛生や品質保持、流通・軽量化などの観点から欠かせないものとなっています。そのためこれらの機能性は担保いしながら環境に配慮することが求められており、正しい分別・回収を行うことにより資源循環の向上に取り組む必要があります。
レトルト食品において加熱殺菌などの工程が必要であることはここまで解説した通りであり、容器包装に用いる印刷方法はこれらの工程に耐えうるものでなければいけません。しかし基本的にデジタル印刷においてはインクやトナーが高温の熱や水に弱いという特徴があることから、採用するためには工夫が必要になります。印刷業界ではこういった弱点を克服するための開発にも力を入れており、デジタルプリントによるレトルト殺菌対応パウチが製造できる接着剤を用いることによってレトルト食品パッケージへのデジタル印刷ができるようになっています。デジタル印刷は特に製版する必要がないという点から小ロット・複数デザインのパッケージ製造が可能となっており、テストマーケティングや小回りを利かせたい商品などにもこれらの技術が活用できるでしょう。
レトルト食品への印字で気を付けなければならないことは何か、使用するインクとインクごとの表示について紹介します。
消費期限や賞味期限は、消費者に直接かかわる重要な印字です。消費者が一目で製造年月日や消費期限・賞味期限を把握できるように正確さや見やすい表示にすることが印字のポイントとなります。
また、印字したての見やすさだけでなく、印字した後の殺菌処理に耐えられるかどうかも、インクジェットプリンターやインクを選ぶ際に気を付けたい部分です。さらに、殺菌処理の後のレトルト食品の保存方法もかかわってきます。常温保存なのか冷蔵・冷凍保存なのか、食品を調理する際に湯煎をしたり電子レンジを使ったりすることもあります。印字に適したインクとして、速乾性や耐熱性、耐水性に優れたインクが挙げられます。
レトルト食品の印字に使用するインクに関して、有機溶剤中毒予防規則(有機則)」の運用によってインクジェットプリンターのインクに含まれる有機溶剤に関しての規定が厳しくなりました。有機溶剤を使用する場合には、以下の規制を守る必要があります。
メンテナンス費用がかかることに加えて、新たに数百万円の出費がかさむことから、脱有機溶剤へシフトチェンジをする会社も増えてきました。脱有機溶剤インクは「脱MEK」や「MEKフリー」、「有機則非該当インク」のインクと呼ばれることもあります。
脱有機溶剤インクを導入する場合は、インクジェットプリンターを導入しなおす必要がありますが、上記の規定に従う必要がなく、最終的にコスト削減につながることもあります。
レトルトカレーをはじめとする、レトルト食品の印字は、見やすさだけでなく耐熱や耐水など殺菌処理や調理時に考えられる温度変化などに耐えられるインクを選ぶ必要があります。また、昭和47年に開始された有機則の運用により、「有機則非該当インク」の導入事例も増えています。従業員の健康面、管理コストから考えても「有機則非該当インク」の導入がおすすめです。