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DOD方式・ピエゾ方式とは?

ピエゾ方式とは?

ピエゾ方式の産業用インクジェットプリンターは、印字データに基づいてインクの微小な滴をコントロールし、対象物へ直接噴射して文字や画像を描き出すことができます。その心臓部となるのが「ピエゾ素子」の働きと、「ドロップオンデマンド」という効率的な噴射方式です。

DOD式のプリンターとは

「ピエゾ素子」の基本原理

ピエゾ方式の根幹をなすのは、電圧をかけると微小に伸縮する性質を持つ圧電素子、すなわちピエゾ素子です。プリントヘッド内の各ノズルに組み込まれたこの素子に電圧を加えると、素子が瞬時に収縮します。この動きによってノズル内のインクが後方へ引き込まれ、電圧が解かれて素子が元の形状に復元する際の圧力で、インクが水鉄砲のように勢いよく前方へ噴射されます。この一連の動作は、機械的な接触ではなく電圧制御によるため、高速かつ精密なインクの吐出コントロールを可能とします。

必要な時だけインクを吐出することが可能

ドロップオンデマンド(DOD)とは、その名の通り「要求に応じて滴を落とす」方式を指します。印字が必要な瞬間にのみインクを噴射するため、無駄なインク消費がありません。

通常ノズル内にはインクが常に充填され、インクタンクとの重力バランスとインク自体の表面張力によって、インクが漏れ出ることなく保持されています。そして印字信号に応じてピエゾ素子が作動し、インク滴が形成されるのです。この効率的な仕組みが、低コストでのオペレーションにも繋がります。

ピエゾ方式の産業用インクジェットプリンターの特徴

高解像度の印字が可能

ピエゾ素子の精密な動きは、小さなインク滴を安定して生成することに繋がります。噴射されるノズルの穴の直径は約50μmと極めて小さく、これにより対象物に着弾した際のドットサイズは1mm以下に抑えられます。

インク滴が微細であるため、インクの使用量が少なく済むほか、印字のにじみの発生を抑えられます。文字やバーコード、ロゴマークなどシャープで可読性の良い状態で印字することができるのです。そのほか多数のノズルを直列に並べたプリントヘッドを用いることで、大面積への一括印字にも対応できます。

高速ラインにも対応

製造ラインの高速化は、生産性向上のための重要な課題といえます。ピエゾ素子の電圧制御は10KHz(1秒間に1万回)といった周波数で行うことができるので、高速で流れる製品にも遅れることなく鮮明な印字が可能です。

また、ピエゾ素子は電圧による伸縮を繰り返すだけで、機械的な摺動部品が存在しません。そのため、摩耗による劣化が少なくなり、プリントヘッドの寿命が長いという利点もあります。これは、メンテナンスの手間やランニングコストの削減などの点でもメリットでしょう。

非加熱方式

ピエゾ方式のもう一つの重要な特徴は、インクの噴射に熱を利用しないことです。インクに熱を加えないため、熱によるインクの変質や劣化リスクを抑えられます。これにより使用できるインクの選択肢が広がるだけでなく、特に厳密な色の再現性が求められる場合にも利用ができます。

衣類などのデザインやポスターの印刷など、わずかな色の変化も許容されないような用途において、インク本来の色味や性能を損なうことなく使用できるピエゾ方式は、導入するうえでのポイントとなるでしょう。

ピエゾ方式産業用インクジェットプリンター導入時のポイント

インクと印字対象の選定

ピエゾ方式では、主に不揮発性のインクが用いられます。これは、インクがノズル内で乾燥して目詰まりを起こすのを防ぐためです。インクが揮発しにくいため、印字されたインクが定着するには、対象物がある程度インクを吸収する必要があります。したがって、被捺印物は紙や段ボール、布といった吸収性の表面を持つ素材が適しています。

設置環境

ピエゾ方式は、インクを噴射する際の圧力が比較的低く設計されています。そのためインク滴を狙った位置へ正確に着弾させるには、プリントヘッドのノズル面と印字対象物の表面との距離(スローディスタンス)をできるだけ近づけて設置する必要があります。導入する際は、正確に印字ができるか機器の設置する位置などに気をつけましょう。


課題解決から選ぶ!
産業用インクジェットプリンター
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大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。

大規模工場
生産性アップなら

KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)

KGK JET CCS7000

引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/

生産性アップにつながる理由

  • 産業IOTで国際標準として推奨されるプロトコル「OPC UA」の採用で、幅広い機器との連携が可能。プリンターの稼働状況を監視し、生産スケジュールの最適化やボトルネックの解消につなげられる。
  • 停止状態からわずか24秒で印字再開できるので、生産ラインのダウンタイムを抑えることができる。また本体は防塵防水規格のIP66に標準対応しているので、過酷な環境下でも安定した運用が可能。

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導入事例から解決した
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定期的メンテナンス
コスト削減
なら

Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)

Gravis UX2-D160J

引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/

コスト削減につながる理由

  • マーキング工程でプリンターを使用する製造ラインでは、長期間の使用によるノズルの詰まりなどのトラブルも発生。日立産機システムのプリンターを選ぶことで、定期点検や機械診断の定額制保守契約でラインを止めない対策を取ることができる
  • プリンターの休止時にインク経路の詰まりを予防する機能があるため、定期的なインク噴出と循環運転をし、インク詰まりを低減してくれる。

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寒冷地域印字不良
頻度を減らすなら

ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)

ドミノAxシリーズ Ax150i

引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/

印刷不良を減らす理由

  • 気温が低下すると、インクが固くなりインクの濃度が上がる。それによってインク粒の大きさを手動で調整し印字不良をなくす作業が必要。しかし、プリントヘッドにヒーターを搭載できるドミノAxシリーズならプリンター立ち上げ時もスムーズ
  • 印字開始や停止の際にノズルを開閉する仕組みで外部からの空気を遮断。これによってインクが空気に触れてしまい、ノズルが詰まることがないよう設計

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開発機種・拠点の多さから探す!産業用インクジェットプリンター おすすめメーカー会社3選