従来の産業用インクジェットプリンターは、大掛かりな設置作業を行わなければ導入できませんでした。しかし、ハンディタイプの産業用プリンターなら、片手さえあればすぐに使用できます。
本項では、「ハンディタイプ」のプリンターについて、特徴や対応メーカーなどをまとめています。ハンディタイプの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
「ハンディタイプ」とは片手で使えるように軽量化されたプリンターです。プリンターを手に持ち、印刷物に当てることで簡単に印字できます。サイズが小さいため場所を取らず、軽量なので外部に持ち運ぶこともできます。
その性質上から、どうしても手作業になるため効率性は劣りますが、コンパクトかつ低価格で導入しやすいというメリットがあり、様々な業界で人気を集めている機種です。
ハンディタイプのプリンターは、難しい操作が不要なシンプル設計が特徴。片手に持ってスライドまたはスタンプするだけで簡単に印字できるため、誰でも使えるのが魅力です。
また、コンパクトな形状から交換が簡単なカートリッジインク型プリンターが殆どで、総じて使いやすいモデルが多い傾向にあります。最近では、タッチパネル搭載や自動メンテナンスフリーなどの高性能モデルも増えており、従来の据置機と勝るとも劣らない機種となっています。
ハンディタイプはコンパクトで場所を選ばないため、他機種に比べて導入しやすいのが特徴。通常のインクジェットと異なり大掛かりな設置作業が不要なので、購入してすぐに使うことができ、手軽に持ち運ぶことが可能です。
また、サイズが小さいため本体価格が安い商品が多く、購入時のイニシャルコストが低いのもメリット。
ハンディタイプは基本的に印字・メンテナンスが全て手作業になるため、効率性が大事な大量生産には向いていません。しかし、据置型のプリンターでの対応シーンでも使用できるため、幅広いシーンで活用できるというメリットがあります。
例えば、梱包後の段ボールやクラフト袋に印字する際など、生産ラインの外部で行う作業ならハンディタイプが適しています。また、ライン上で行うのが難しい印字や、わざわざ据置機を導入しなくてもよい生産量の場合などにも有効です。その他、自社に生産ラインを持っていない会社でも、商品に印字できるというメリットもあります。
ハンディタイプで印字できる内容はモデルによって様々で、賞味期限・製造番号といった小文字から、バーコード・QRコードなどの大文字・グラフィクスまで幅広く対応可能です。プリンター選びの際は、印字したい内容に合わせると良いでしょう。
ハンディタイプが対応できる印刷物は、主に表面が平坦な梱包箱・包装袋などが挙げられます。特に、段ボールやクラフト袋など吸水性の高い梱包材に用いられる事が多いです。使用するプリンター・インクによっては、プラスチックや木材、金属などの特殊素材にも対応できます。
ただし、缶やペットボトル、チューブといった形状のある印刷物の場合は対応できる機種が限られます。製品・メーカーごとで対応可能な印刷物が異なるので、しっかり確認してから購入しましょう。
ハンディタイプのプリンターは広く普及していますが、産業用のモデルを取り扱っているメーカーは然程多くありません。
ここでは、ハンディタイプに対応している専業メーカーについて紹介してします。メーカー探しに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
※引用元:紀州技研工業公式サイト https://www.kishugiken.co.jp/
紀州技研工業では大文字用のハンディタイププリンター「KGK JET HQ1000H」を扱っています。バーコード・QRコードの印字に適したオンデマンド式インクジェットプリンターで、本体と消耗品の総重量は僅か600gという超軽量のモデルです。
長時間作業していても手が疲れにくく、軽量ボディなのでスムーズな印字が可能。汚れにくく交換が簡単なノズル一体型カートリッジ式のモデルで、誰でも手軽に扱える設計となっています。
600dpiのノズル一体型インクカートリッジを採用した、サーマル式インクジェットプリンターです。高品位な印字を低価格で実現しました。細かい印字にも対応でき、日付やロットナンバーだけでなく、QRコードやDataMatrix、各種バーコードなどもきれいに印字できます。
またカートリッジ交換もワンタッチで簡単に完了。手も汚れず、交換時にはノズルも替わるため、ノズルトラブル発生時にも自分で復旧が可能です。
インクカラーのバリエーションも豊富で、特殊素材に対応した可食性インク・速乾性インク・発泡スチロールインクなどもラインナップされています。
インクカートリッジ管理機能を装備しており、インク残量や古さ、間違いなどのトラブルを防止してくれます。
大文字IJP(DOD式)の国内トップシェアを誇る専業メーカーです。「段ボールへの印字と言えば紀州技研」と言われるほどで、バーコード・QRコードなどのグラフィクス印字に適したモデルラインナップを取り揃えています。
国内で「自社一貫体制」を取っている専業メーカーでもあり、プリンターからインクまで全製品を自社で開発・製造・販売しているため、スピーディーな受注生産の提供が可能です。
※中日社「2020-2021 産業用マーキング装置(プリンタ)国内市場総覧(2021年発行:P120~P127)」による調査(書籍)
※参照元:紀州技研工業公式サイト https://www.kishugiken.co.jp/
※引用元:アルマーク公式サイト https://www.almarq.co.jp/
アルマークは生産ラインに取り付けるタイプのプリンターが中心ですが、スタンプで印字できるハンディタイプのマーキング機器もオーダー・提案を行っています。
最高600×600dpiの解像度で、鮮明な高品質の印字ができるプリンターです。コントローラ1台で最大50㎜の印字エリアをカバー。最高306m/分の搬送速度で、生産能力を落とすことなく高品質でプリントできます。
プリントヘッド一体型のカートリッジ式を採用しており、自分で簡単に手早くカートリッジ交換が可能です。技術者による特別なメンテナンスも不要のメンテナンスフリーなので、ランニングコスト低減にも貢献します。また有機則非該当の速乾黒インクは「オートマチックバルクシステム」で400mlのバルクタンクを使用できます。
プリントヘッドがコンパクトなので、あらゆるスペースへの組み付けも容易に行えます。包装機械や製造設備との通信連携も考慮した設計・開発で、通信での印字切替などが簡単で生産効率が向上します。
アルマークのプリンターは、クラウド技術の応用によるオンラインシステムを搭載しているのが特徴。プリンターをインターネットに接続することで、複数台を同時操作できるワークフロー機能や、クラウドサービスを通したスタッフサポートを利用できます。
対応しているインクのラインナップも豊富で、製品・素材を選ばないのもメリット。誰でも簡単操作で使えるユーザーフレンドリーなモデルが揃っています。
※引用元:山崎産業公式サイト https://www.technomark.co.jp/
ハンディタイププリンターのラインナップなら、右に出る物はいない山崎産業。横にスライドして印字するコンパクトモデルから、卓上でスタンプして印字するモデルまでさまざまです。
また、必要な機材が揃ったオールインワン製品なので、気軽に持ち運ぶことも可能。用途に合わせて使用インクを変更でき、吸水性の有無にかかわらず印字できます。
産業用インクジェットのハンディタイププリンターです。ダンボールやクラフト袋など吸水性のある素材から、金属、フィルム、プラスチックなど吸水性のない素材まで、さまざまなインクに対応できるため、幅広い素材や印字できます。
ハンディタイプなので賞味期限や製造年月日、ロット番号などの印字にも向いています。また付属の専用ソフトウェア「MessageProⅡ」をPCにインストールすることで、商品名などを含めたデータ編集も可能です。
ヘッドとインクが一体となったカートリッジタイプなので、インク交換が簡単です。メンテナンスも自分で容易に行えます。
バッテリーは7時間連続印字、20万文字以上印字可能の長時間駆動なので、作業効率化も図れます。
印字機器・マーキング機器の開発・販売を専門に行う国内メーカーです。片手で使えるハンディタイプのプリンターを始め、様々な機種のプリンターを提供しています。
殆どのモデルはカートリッジ式の非該当インクを使用しているため、安全性・清潔性も申し分なし。搭載機能も豊富で、コンパクトながらも高性能なプリンターを用意しています。
※引用元:モリコー公式サイト https://www.morico.co.jp/
モリコーでは、手動方式のハンディタイププリンター「ヘリオスハンディインクジェット」を扱っています。速乾性インク・水性インクの選択が可能で、コーティング素材やアルミなどさまざまな素材に対応することもできます。
本体は軽量で扱いやすく、速乾性ながらもメンテナンスフリーでインクトラブルにも強いです。また、タッチパネル画面で印字内容や設定の変更も可能。ハンディタイプながら、多機能なハイエンドモデルとなっています。
段ボールなどの紙製品、木材など、浸透性のある素材への印字に対応しているヘリオスシリーズ。ベルトコンベアーで搬送されてくるものへの印字に最適で、賞味期限や製造年月日、ロット番号などをHP社の技術を用いた高解像度の品質で印字します。
従来産業用インクジェットプリンターは、インク交換時にインク漏れをして手や作業環境の汚れが心配でしたが、ヘリオスシリーズのインクはカートリッジタイプなので手も作業現場も汚すことがありません。
またノズルとカートリッジが一体化しているため、カートリッジ交換でノズルも新しくなるためメンテナンスフリーです。コスト削減となり、印字品質も安定します。
段ボールが天地逆さまのラインでも印字ができるのもメリットです。
モリコーの産業用IJP「ヘリオスシリーズ」の特徴は、用途・印字物から選べる幅広いモデルのラインナップ。
ヘリオスシリーズはカートリッジ式インクを採用しているため、手や現場を汚すこと無く清潔性を保ったまま使用できるのが魅力。オプション機器も豊富で、用途に応じたカスタマイズも可能です。
当サイトでは食品や製品に印字する産業用インクジェットプリンターの国内メーカー全10社の中で、
・10種類以上のプリンターを開発・販売しているメーカー
・10か所以上の拠点があるメーカー
を優良メーカーと定義し調査しました。
該当した下記の3社について、各社の特徴と共にご紹介します。
※2022年1月31日時点のGoogleによる調査。食品や製品に印字する産業用インクジェットプリンターの国内メーカーに該当している全10社から選択しています。
※有機則の対象となる溶剤を一切使用しない「有機則非該当インク」に対応している3社を紹介しています。
メーカー名 | 紀州技研工業 | 日立産機 システム |
ブラザーインダストリアル プリンティング |
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問い合わせ先 | ![]() 引用元:紀州技研工業公式 https://www.kishugiken.co.jp/ |
![]() 引用元:日立産機システム https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/ |
![]() 引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング公式 https://bipj.brother.co.jp/printer/cat/inkjet/ |
プリンター 種類 |
22種類 | 12種類 | 12種類 |
拠点数 | 15 | 32 | 10 |
設立 | 1968年 | 2002年 | 2000年 |
こんな方に おすすめ |
カスレやムラをなくしたい、 製品の品質を向上させたい |
修理・メンテナンスを減らしたい、 インク詰まりを低減したい |
生産ラインを増やしたい、 稼働効率を上げたい |
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由