DOD方式は、インクを吐出させる力の加え方によって、いくつかの種類に分類されます。代表的なものに、電圧をかけると変形するピエゾ素子を利用したピエゾ方式や、電磁弁でインクの流れを制御するバルブ式、そしてヒーターによる熱を利用したサーマル方式があります。
サーマル方式は、これらのDOD方式の中でも特に構造を小型化しやすく、高密度なノズル配置が可能なため、高い印字品質を発揮する方式でもあります。
サーマル方式の特徴は、インクを吐出するメカニズムにあります。プリンターヘッド内部に微小なヒーターが組み込まれており、印字信号に応じてこのヒーターを瞬間的に加熱。すると接触しているインクが急激に沸騰し、微細な気泡が発生します。この気泡が膨張する際の圧力を利用して、インク滴をノズルから吐出させるのです。
物理的な駆動機構が少ないこの単純な構造は、印字の高速化や、ノズルを高密度に配置することによる高解像度化にも関わっています。
サーマル方式で用いられるインクは高い速乾性能を持つため、段ボールや紙ラベルといったインクが浸透しやすい素材でも利用可能。インクを弾きやすいフィルムやプラスチック、金属などの非吸水性素材に対しても、にじみが少ない印字を行うことができます。また、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則に該当しないインクも利用できるので、作業環境や環境負荷にも配慮した運用ができます。
サーマル方式は、最大600dpiという高い解像度で印刷できるプリンターもあります。マルチヘッドモデルを使用すれば、食品表示ラベルのような広範囲に渡っての印字も一度にまとめて行うこともでき、生産効率の向上に繋げられるでしょう。
インクを常に循環させるためのポンプや配管が必要なコンティニュアス式など、構造が複雑なものは製品も大きくなるため、設置場所に悩むこともあるでしょう。サーマル方式はヘッド構造がシンプルで、コンパクトなモデルもあります。既存の製造ラインの隙間や、小型の自動機など、これまでプリンターの設置が難しかった場所にも組み込むこともできるでしょう。
サーマル方式の多くは、インクとプリンターヘッドのノズル部分が一体となったインクカートリッジを採用しています。そのため、インクがなくなればカートリッジを交換するだけで、簡単にインク補充を行うことも可能です。この時、ノズルも同時に交換することもできるので、目詰まりなどのトラブルが抑えて常に安定した印字品質を維持しやすくなるでしょう。
サーマル方式は、その原理上、インクに直接熱を加えることになります。そのため、使用するインクは熱による影響を受けにくい、専用に開発されたものを選ぶ必要があります。熱によって成分が変質したり、性能が劣化したりするインクは使用できない点に注意しましょう。
サーマル方式インクジェットが液体インクを対象物に直接噴射して印字するのに対し、サーマルプリンター(熱転写プリンター)は、感熱紙を発色させたり、インクが塗布されたリボンを熱で溶かして紙やラベルに転写したりして印字するプリンターです。
サーマルプリンターの主な用途はレシートやラベルの発行に限定されますが、サーマル方式インクジェットプリンターは、より多様な対象物へ直接印字できるという点が違いといえます。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由