産業用インクジェットプリンターには印字する素材や製品によっても相性があり、それぞれ適切な方式や印字タイプが異なります。
ここでは、製品や素材別で選ばれる産業用インクジェットプリンターの事例をまとめました。
高速生産ライン上で印字される缶には、1つの噴出口から角度を変えてインクを固めずに噴出できる「連続式インクジェットプリンター」が適しています。ただし、一斗缶やドラム缶など、大きな製品の印字はその限りではありません。大きな缶やこすれて文字が消えてしまうおそれのある缶には、大きな文字を印字できる乾燥性インクを使用したオンデマンド式のインクジェットプリンターや印字する場所への配慮が求められます。
瓶を使用した製品の印字は、瓶そのものに印字する場合もあればアルミやブリキなどの金属キャップに印字する場合など、製品によって印字する箇所が異なります。複数の素材に対応できる、印字対象を選ばない連続式インクジェットプリンターを選ぶと良いでしょう。印字箇所に合わせたインク選びや性能の事前チェックも大切です。
牛乳パックなどの賞味期限が短い乳製品を生産する現場では、パフォーマンスの最大化や衛生管理が重視されます。また、製造プロセスによっては洗浄による印字消去が必要なケースや耐水性や耐結露性、耐アルコール性を持つインクが求められる場面もあり、ニーズに対応できる産業用インクジェットプリンターを選べるかが重要です。
牛乳パック(紙・テトラパック
・ブリックパック)の
印字事例はこちら
贈答箱や美粧段ボールなど、印刷や箔押しを施した化粧箱への印刷。表面加工されている紙や厚みの異なる紙にも、滲まず鮮明に印字できる高品質なインクジェットプリンターが求められます。インクジェットプリンターに特殊なUV硬化インクを組み合わせれば、コート紙などの浸透性のない素材にも印刷のように印字することが可能です。
産業用インクジェットプリンターを利用すれば、お菓子などの個包装や小包装へ賞味期限や製造年月日を印字できます。ただし、印字対象が食品の場合、有機則インクは利用できません。MEKフリーインクのように、有機則対象外のインクを選びましょう。
レトルト食品や加工食品で用いられるパウチ(パウチ袋・スタンドパウチ)。産業用インクジェットプリンターで賞味期限やロット番号の印字が可能です。印字対象が食品の時は、加熱やアルコール耐性を持つインクを選びましょう。
凹凸や曲面の多い金属部品やパイプへ印字する際には、製品を傷つけないように配慮できる産業用インクジェットプリンターを選びます。工業用の金属部品なら、切削油や潤滑油が付着しても消えない耐油性に優れたインクを選びましょう。
樹脂が原料の素材はインクの密着性が低く、浸透しにくい特性があります。産業用インクジェットプリンターを選ぶ際には、密着性の高いインク選びも大切です。樹脂製品に印字した事例とともに、印字に適した産業用インクジェットプリンターの選び方をまとめました。
食品包装に多く用いられるフィルム素材には、ライン上で高速印字ができる産業用インクジェットプリンターを選ぶべきです。また、平面ではないところへの印字が求められるシュリンクフィルムにも産業用インクジェットプリンターが選ばれています。
フィルム
(包装フィルム・シュリンクフィルム)の
印字事例はこちら
一般的に、ピロー包装やスティック袋への印字は内容物の包装前のフィルムに行いますが、製品の形状や製造工程によっては包装後に行うこともあります。ライン工程に合わせたタイミングで柔軟に印字できるプリンターを選ぶことが大切です。
ライン工程で移動する中での印字が求められるボトルへの印字には、速乾性のインクを使用できるインクジェットプリンターを選ぶべきです。ここでは、ボトルに印字されている事例をもとに産業用インクジェットプリンターの知識をご紹介しています。
ロータリー充填機やパウチ充填機は、とろみや粘性のある食品などを充填する際に使用されます。製造ラインでは、フィルム包装やパウチが移動している間に高速で印字しなくてはなりません。充填後に殺菌工程が控えている場合も多く、熱で消えないインクで印字できるかも重要です。
飲料には商品番号・賞味期限などの文字が印字されています。しかし文字が滲むことも多く、フラッシュによって上手く文字が読み取れないケースも。そのため滲みにくいインクや白インクなどを採用することも検討しましょう。
速乾性のインクやプリンターが重要になってきますが、有機溶剤に使用していないインクの使用も欠かせません。有機溶剤は速乾性に優れているというメリットはありますが、中毒性や環境負荷などの面を考えれば、有機溶剤を使用しないプリンターが理想的です。
連続式であればプラスチック・金属・ガラスなどへの印字を得意としているため、調味料容器への印字には連続式インクジェットプリンターが向いているでしょう。連続式なら曲面でも印字しやすいなどの特徴もあります。
インスタント食品へ印字するのに適したインクジェットプリンターには、印字検査や遠隔操作ができるものもあります。保存や殺菌処理の影響を受けないインクにも配慮が必要です。
インスタント食品(カップ麺・
インスタントラーメン・
インスタントコーヒー・
カップスープ)の
印字事例はこちら
お菓子への印字ができるインクジェットプリンターは、賞味期限や消費期限が消えないようなインクを使えるタイプが有効です。ヒューマンエラーを減らせる操作性のいいものが適しています。
お土産品に印字ができるインクジェットプリンターなら、化粧箱や包装紙でも対応できるものが適しています。連続式で小文字用のインク、ヒューマンエラーを減らせるものがいいでしょう。
建材に印字ができるインクジェットプリンターは、粉塵や高温にも耐えられるタイプが適しています。インクジェットプリンターを使えば対象物によって版を取り換える手間を省くことができ、作業効率の向上も目指せるでしょう。
電子基板に印字ができインクジェットプリンターを使えば、ダメージを与えずに小さなスペースにも正確に印字ができます。部品と干渉せずに印字ができるので、電子基板などの精密な対象物にも適しています。
トイレットペーパー・紙管に印字ができるインクジェットプリンターを導入すると、紙管の内側など、印字が困難な部分にもスムーズに印字できます。スピードを求められる現場では、速乾性に優れたインクの使用がおすすめです。
薬の印字にインクジェットプリンターを導入すると、崩れやすいOD錠を含めたすべての錠剤に直接印字ができるようになります。ただし、薬に直接印字をするときは、食品衛生法に基づいた可食インクの使用が必要になります。
さまざまなサイズ・形状・材質を使用する自動車部品の印字には、インクジェットプリンターの導入がおすすめです。非接触で部品を傷つけずに印字ができ、黒以外のインクも使用できるので、視認性の高い印字を実現できます。
食材の業界では、包装への印字のほか、食品に直接製品の情報を印字するケースもあります。可食性インクを使用したインクジェットプリンターなら、製品の品質を落とすことなくさまざまな形状の食材に印字することが可能です。
表面が滑らかで撥水性のある樹脂製品や継ぎ手への印字には、速乾性が高いインクを使う必要があります。これらの素材に適したインクにはいくつか種類があるため、まずはそれらの特徴を押さえておくのが重要でしょう。
あらゆる形状、サイズ、カラーを使用するチューブへの印字には、連続式の印字方法に対応しているインクジェットプリンターを選ぶのがおすすめです。また、印字の剥がれや掠れを防ぐためには、強接着インクが向いています。
不織布製のマスクやポリ系の樹脂、ガラスなど、医療機器や医療器具には、ほかにもさまざまな種類の素材が使われています。適宜対応する必要がありますが、たとえば、強接着でかつ粘着力の高いインクや適したインクジェットプリンターを扱っているメーカーもあるので、自社のニーズに合うものをじっくりと比較検討してみてください。
消毒スプレーなどが付くと、アルコールによる溶解で印字が消えてしまうという問題があります。対処するには、耐アルコールタイプのインクを選んで使用する方法があげられます。また、替わりにレーザーマーカーで印字を行うという選択肢もありますが、表面に傷がつく、曲面や凸凹のある面などへの印字は難しくなるなどの問題があるため注意が必要です。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
印刷不良を減らす理由