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産業用インクジェットプリンター(CIJ)の分野では、近年「脱MEK」というキーワードをよく目にします。これは印字用インクに含まれるMEK(メチルエチルケトン)という溶剤を、別の成分に切り替える取り組みです。なぜ今この対応が注目されているのか、基礎から押さえておきましょう。
脱MEKとは、インクジェットプリンターの溶剤として長年使われてきたMEKを使用しない、あるいは別の溶剤に置き換えたインクへ切り替えることを意味します。MEKが選ばれてきた理由と、切り替えが進む背景を整理します。
MEKは乾燥が早く、プラスチックや金属といった性質の異なる素材にもしっかりと密着するという特性を持つ溶剤です。印字がすぐに乾き、こすれても消えにくいという実用面の強みから、産業用インクジェットプリンターの標準的な溶剤として、長きにわたり幅広い製造現場で採用されてきました。
食品や日用品のパッケージから工業部品、建材まで、印字対象を選ばない扱いやすさも普及を後押しした要因といえます。
MEKは労働安全衛生法に基づく有機溶剤中毒予防規則(有機則)の第二種有機溶剤に該当するほか、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の対象物質にも位置づけられています。取り扱いには法令に基づく管理が求められ、作業者の健康リスクや現場の管理負担が課題となってきました。
あわせて、企業のESG経営やSDGsへの対応、作業環境の改善意識の高まりから、エタノール系やIPA系インクへの切り替えが加速しています。
非MEKインクへの移行は、単に溶剤を変えるだけの取り組みではありません。安全衛生面の管理負担、現場の作業環境、企業としての社会的な評価など、複数の側面にメリットをもたらします。ここでは、特に重視されることの多い3つの観点から見ていきましょう。
有機則に該当しないインクを選ぶことで、局所排気装置の設置・維持にかかる費用や、定期的な作業環境測定、特殊健康診断といった法的な管理コストを削減・免除できる可能性があります。
局所排気装置の設置費用は負担となりますが、作業主任者の選任など手続き面の手間を抑えられる点では、非MEKインク導入のメリットといえます。
MEKを含むインクには特有の刺激臭があり、頭痛やめまいなど作業者の体調不良につながる懸念も指摘されてきました。非MEKインクへの切り替えにより、臭気が抑えられ、作業環境の改善にもつながります。
現場で長時間作業するスタッフの負担軽減は、非MEK化を検討する大きな動機の一つです。
環境負荷の大きい化学物質の使用を減らす取り組みは、取引先から求められる環境監査への対応や、CSR(企業の社会的責任)の観点からも評価されやすくなっています。
脱MEKは製造現場のコンプライアンス強化とSDGs・ESGへの取り組みを、同時に進められる施策といえるでしょう。サプライチェーン全体で環境配慮が重視される中、対応の遅れは取引先からの信頼低下につながるリスクにもなり得ます。
良いことばかりに見える脱MEKですが、導入にあたって事前に理解しておきたい課題もあります。乾燥や密着性に関する特性の違いと、既存プリンターとの互換性という2つの観点から、あらかじめ確認しておくべきポイントを整理します。
エタノール系など非MEK系のインクは、MEKと比べて乾燥にやや時間がかかる場合があり、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ガラスといった密着しにくい素材では、印字の定着が弱まるリスクも指摘されています。
対策としては、印字後にエアを吹き付けて乾燥を助ける設備を併用したり、難接着素材向けに開発された高密着タイプの非MEKインクを選定したりする方法が挙げられます。
使用中のプリンターに、インクを詰め替えるだけでそのまま非MEKインクへ移行できるとは限りません。インクが直接触れる部品(接液部)の交換や洗浄が必要になるケースや、対応機種への入れ替えが求められるケースもあります。
導入前には必ずメーカーやディーラーに、現在の機種で使用できるかどうかを確認することが大切です。
選定にあたっては、自社で扱う素材(ワーク)へ実際にサンプル印字を行い、密着テストを実施することが重要です。実際の搬送速度で印字し、乾燥時間やこすれへの強さ、密着性を事前に検証することで、導入後のトラブルを防げます。
さらには、有機則非該当やPRTR非該当、食品グレード対応など、目的に応じたインクのラインナップが用意されているか、導入後の技術サポート体制やインクの供給安定性まで含めて比較検討することが、失敗しないメーカー選びにつながります。
脱MEKは、単なる法令対応やコスト削減にとどまらず、現場の安全な作業環境と企業としての社会的な信頼性を高める投資でもあります。乾燥速度や密着性など製品ごとの特性は異なるため、導入を検討する際は、複数のメーカーへサンプル印字テストを依頼し、自社の用途や設備に合った一台を見極めることをおすすめします。早めに情報収集を始め、焦らず比較検討を重ねることが、失敗しない切り替えにつながるでしょう。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由