錠剤や精密機械など、印刷領域の狭いものに印字する場合、通常の産業用プリンターでは文字が潰れてしまい、正しく印字できない可能性があります。しかし、高解像度対応の小文字IJPなら、視認性を損なわずに印字できます。
本項では、印字が可能な細かいものの例や、細かい印字に対応できるメーカーを紹介します。印字の品質・解像度に悩んでいる方は、是非参考にしてみて下さい。
インクジェットプリンターは非接触かつ高解像度での印字が可能なため、小さい製品やデリケートな部品であっても印字できます。ここでは、印字できるものの一例を挙げて紹介しています。
瓶の蓋やペットボトルのキャップなど、小さいうえに曲線を描いているものは印字が難しく、対応できるプリンターも限られます。細かいものの印字に適した小文字用IJPなら、蓋やキャップの側面にも印字が可能です。
また、容器の蓋は金属・プラスチックなどのインクが接着しにくい素材ですが、強接着インクを使えばインクジェットでも印字できます。
錠剤・カプセル剤などの印字領域が狭い製品でも、小文字用IJPを使えば解決できます。高解像度印字に対応しているプリンターなら、どれほど狭くても視認性を損なわずに印字可能。
なお、薬品や食品など口に入れるもの印字は、食用色素を使った安全な食品用インクが使用されます。
精密部品・パーツなど取り扱いの難しい製品にも、インクジェットで印字することができます。インクジェットは印刷物に接触せず印字することができるため、電子部品のようにデリケートな製品でも、ダメージを与えずに文字を入れることが可能です。
また、部品やパーツは狭い印字領域な上、生産量が重要な製品でもあるので、効率性の高いインクジェットが適しているとも言えます。
細かい印字に対応できるメーカーを紹介します。それぞれ対応できるものやプリンターの性能が異なるので、よく考えて選びましょう。
※引用元:紀州技研工業公式サイト https://www.kishugiken.co.jp/
大文字用IJPのトップシェアとして有名な専業メーカーですが、高品質印字が可能な小文字用IJPも取り扱っています。自社で独自インクを製造しており、食品に印字できる食品用インクなどの特殊な用途のインクも提供。使用インクを変更すれば、印字対応をさらに拡大することも可能です。
※参照元:紀州技研工業公式サイト https://www.kishugiken.co.jp/
優れた「印字品質」を誇る産業用インクジェットプリンターの国内シェアトップです。プリンターとインク両方の開発・製造・提供を一貫して行う「自社一貫体制」を取っている国内メーカーで、さまざまな印字ニーズに対応できるのが強みです。
※引用元:日立産機システム公式サイト https://www.hitachi-ies.co.jp/
日立産機システムの小文字用IJPは多彩な印字ニーズを満たすべく、高速印字や高解像度印字など、様々な高品質印字に対応しています。包装フィルムへの高速印字、電子部品などの極小文字印字など、シーンに合わせたプリンター選択が可能です。
日立産機システムの強みは、「安定稼働」を重視した独自システムの数々。直感的に操作できるユーザーインターフェースと、簡単にメンテナンスができるセーフティシステムが特長で、誰でも使えるユーザーに優しい設計となっています。
※引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング公式サイト https://bipj.brother.co.jp/
ブラザーインダストリアルでは、小文字用・個別パッケージ用のプリンターも扱っています。オプションを揃えれば、超高速ラインに追従できる高速印字も可能。メンテナンスフリーで、保守作業の手間やコストが掛からないのもメリットです。
ブラザーインダストリアルの強みは、「高速印字」や「過酷環境対応」など特殊なニーズ対応が可能なラインナップ。インクのバリエーションも豊富で、用途別・目的別から組み合わせを選ぶことができます。
※引用元:キーエンス公式サイト https://www.keyence.co.jp/
キーエンスの強みは、画像センサによる正確な印字。賞味期限など印字ミスの多い小文字も、検出によってミスを削減。また小文字用IJP「MK-G シリーズ」には高度なAI機能が搭載されており、ヒューマンエラーを防止できる独自機能が備わっています。
センサ・スキャナなどの検出機を中心に取り扱っている専業メーカーです。プリンターにも検出器の技術を応用し、本体機能やオプションとして高性能の画像センサを導入。入力作業のミスを大幅に減らし、正確な印字をサポートします。
※引用元:アルマーク公式サイト https://www.almarq.co.jp/
アルマークの小文字用IJPは、包装用のクラウド型インクジェット「リンクス 8900」が主力。洗浄頻度の最小化で「廃棄ソルベント(溶剤)」の排出を削減し、印字品質を安定させています。 対応素材も幅広く、フィルムからボトルまで様々な製品に印字可能です。
アルマークでは、IoT技術を活用して様々なシステム・サポートを導入しています。プリンターをインターネットに接続することで、複数台の同操作が可能なワークフロー機能や、現場でのプロサポートなどが利用できます。
※引用元:マーケムイマージュ公式サイト https://www.markem-imaje.com/ja/home
マーケム制の小文字用IJPは、ビンや缶、個装箱などのパッケージ用モデルが中心。ツインジェットやダブルヘッドを使えば、文字数に合わせた柔軟な対応が可能です。ボトルへの賞味期限印字から、ケーブルへのロット番号印字まで幅広く使用できます。
日本を始め、130 ヵ国以上の国で事業を展開しているグローバル企業です。プリンター製品は大量生産向きの小文字用IJPをメインとしており、インクなどの消耗品やオプション類の開発・販売も扱う自社一貫体制を取っています。
※引用元:山崎産業公式サイト https://www.technomark.co.jp/
山崎産業の主な小文字用IJPは、ボトルなどの曲面でも印字できる速乾性モデル「U2-ProS」。金属やプラスチックなどの吸水性のない素材にも印字可能で、専用のPCソフトウェアを使用すれば印字内容の細かい編集も可能です。
ハンディタイプを始め、様々な機種のプリンターを提供している専業メーカーです。低価格と高品質の両立を目指し、創意工夫をこらしたコンパクトモデルの数々を開発してきた実績があり、小サイズで導入しやすいプリンターが揃っています。
※引用元:モリコー公式サイト https://www.morico.co.jp/
モリコーの産業用IJP「ヘリオスシリーズ」は、清潔性に優れた製薬・医薬品業界向けのプリンターです。非接触式・高品質印字の「ヘリオスドライ」なら、製品にダメージを与えることなく、高解像度の印字ができます。
製薬・医薬品業界向けの産業機器を得意とする専業メーカーです。主力製品である「ヘリオスシリーズ」は、インクトラブルに強いカートリッジタイプのプリンターで、現場の清潔性を維持したまま使用できるモデルが揃っています。
微細な文字を印字する場合、インクジェットプリンターの「ノズルの大きさ」と「インクの滴(しずく)の量」が印字の品質に大きく関わってきます。
産業用のインクジェットプリンターでは、ノズルの直径がだいたい10〜100マイクロメートルで設計されています。このノズル径が小さくなるほど、インクの滴も小さくなり、より細かく精密な印字が可能になります。
細い線や小さな文字をくっきりと印刷するには、インクの落下位置を正確に制御する必要がありますが、小さなノズルを使うことで制御しやすくなるのです。また、印刷後のインクのにじみ(ドットゲイン)も抑えられるため、よりシャープな印字が可能となるでしょう
インクの滴の大きさは直径10〜100μmで、この範囲ではおおよそ0.5〜500ピコリットルの体積になります。この体積の違いによって、インクが素材に付着する際の精度や乾燥のしやすさも変わり、印字の美しさや生産ラインでの扱いやすさにも直結するのです。
そのほか、ノズルの内側の表面をどれだけ滑らかに仕上げているかも大切なポイントです。内壁が粗かったりエッジの形が不正確だったりすると、インクが乱れたり吐出が安定しなくなったりするおそれがあります。微細なノズルを高い精度で加工するために、サブミクロンレベルの寸法制御技術や、ナノメートル単位で表面を仕上げる加工技術が使われています。
解像度はDPIという単位で表され、1インチの幅に何個のドットを印字できるかを示します。産業用インクジェットプリンターでは、一般的に300〜600dpiの解像度が標準とされており、数値が高いほどより多くのドットを密に配置することが可能です。そのため、細かい文字や狭いスペースに印字されるバーコードでも、はっきりと見やすく仕上げることができます。
また、「グレースケール制御」という技術も細かい文字への印字に関わります。この制御により1つのドットあたりのインクの量を段階的に変えることが可能。通常は2〜8段階ほどの滴量が設定でき、それによって文字の輪郭やバーコードの線の太さをより滑らかに、かつ自然な濃淡で表現することができるのです。例えば、印字部分のエッジをきれいに再現することで、読み取り機器による誤認識を防ぎ、製品管理や出荷検査の正確性の向上も目指せるでしょう。
ナノインクとは、インク内の粒子のサイズをナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)単位にまで微細化したもので、従来では難しかった高い解像度の印刷も可能とします。さらに、粒子の表面を特殊な方法で処理することで、インクの定着性や流動性が大きく改善され、精密な印字にも対応できるようになっています。
この技術は単に美しい印字を可能にするだけでなく、応用の幅も広がっています。たとえば、柔らかい素材の上に電子回路を印刷する「フレキシブルエレクトロニクス」や、医療や環境分野で活用される「バイオセンサー」など、高度な機能が求められる分野でもインクジェット技術が使われ始めているのです。
ヘッドの小型化とノズル密度向上は微細印字にも関わります。
例として、粘度が数mPa·sから10mPa·s、表面張力が25〜40mN/m程度のインク物性を前提に設計された高性能プリントヘッドでは、数千におよぶノズルを高密度に配置することに成功しています。この設計により、細かな印字にも対応しつつ、インクの種類を幅広く選べる柔軟性や印字スピードを維持したまま大量処理が可能な高スループット性の両立も行えるでしょう。
当サイトでは食品や製品に印字する産業用インクジェットプリンターの国内メーカー全10社の中で、
・10種類以上のプリンターを開発・販売しているメーカー
・10か所以上の拠点があるメーカー
を優良メーカーと定義し調査しました。
該当した下記の3社について、各社の特徴と共にご紹介します。
※2022年1月31日時点のGoogleによる調査。食品や製品に印字する産業用インクジェットプリンターの国内メーカーに該当している全10社から選択しています。
※有機則の対象となる溶剤を一切使用しない「有機則非該当インク」に対応している3社を紹介しています。
| メーカー名 | 紀州技研工業 | 日立産機 システム |
ブラザーインダストリアル プリンティング |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ先 | ![]() 引用元:紀州技研工業公式 https://www.kishugiken.co.jp/ |
![]() 引用元:日立産機システム https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/ |
![]() 引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング公式 https://bipj.brother.co.jp/printer/cat/inkjet/ |
| プリンター 種類 |
22種類 | 12種類 | 12種類 |
| 拠点数 | 15 | 32 | 10 |
| 設立 | 1968年 | 2002年 | 2000年 |
| こんな方に おすすめ |
カスレやムラをなくしたい、 製品の品質を向上させたい |
修理・メンテナンスを減らしたい、 インク詰まりを低減したい |
生産ラインを増やしたい、 稼働効率を上げたい |
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由