産業用インクジェットプリンターで発生する印字不良の中には、静電気が関係しているケースがあります。特に気をつけたいのが、印字した文字が乱れたり、輪郭がぼやけてしまうといった現象です。これは、インクが正常に飛ばずに広がってしまう、あるいは狙った位置に届かないことで起きるものです。
わずかな静電気であれば、通常大きな問題にはなりません。しかし静電気の電荷量が大きくなると、インクが不規則にはねてしまう「インクはね」が発生することがあります。さらに、静電気が周囲の埃を吸い寄せ、それが印字面に付着してしまうと、印字がかすんだり不鮮明になる原因に。
そのほか、強い静電気放電があると、センサーやプリンター本体の誤作動を引き起こすリスクもあり、これが安定した印字作業の妨げになるのです。
インクジェットプリンターで起こる印字不良の背景には、「クーロン力」と呼ばれる電気的な引力・斥力が関わっています。これは、物体がプラスやマイナスの電気を帯びているときに働く力で、磁石のように引き合ったり反発し合ったりする性質を持っています。
例えば、インクを材料に向かって滴下する際、その材料がマイナスの電気を帯びており、かつ材料の周辺がプラスに帯電していたとします。このとき、滴下されたインクはクーロン力によって周囲のプラスの電荷に引き寄せられ、本来狙った位置とは異なる場所に吸い寄せられてしまうのです。これが原因で、印字の位置ずれやにじみといった不良が発生します。
一方で、インクも塗布する材料もどちらもマイナスに帯電していた場合は、今度は互いに反発するクーロン力が働きます。その結果、インクが材料の表面に弾かれてしまい、これもまた正確な位置にインクが届かず、印字のずれや飛び散りといった現象を引き起こされるのです。
製品が帯電しにくくなれば、インクが電気的に引き寄せられることもなく、狙った位置に正確に印字できます。そのため、製品素材自体を帯電しにくい材料に変更する、あるいは印字面に帯電防止剤を塗布することで、クーロン力の影響を最小限に抑えることができます。
ただし、製品の材質変更や防止剤の塗布は簡単にはできないケースが多く、コストなどを考慮する必要があるでしょう。
産業用インクジェットプリンター本体や印字対象物に発生した静電気を、アースによって地面に逃がすことで、機器の誤作動や印字不良のリスクを低減できます。
プリンターは金属などの導体でできているため、アースの接続が効果的です。接続状態の確認は電気工事士に依頼する必要がありますが、工場全体の安定稼働を守るためにも、定期的な確認をおすすめします。
静電気は空気が乾燥することで発生しやすくなります。特に湿度が50%を下回るとリスクが高まるため、加湿器を使って工場内の湿度を一定に保つことが効果的です。
乾燥しやすい冬場や密閉された空間では、湿度のモニタリングと適切な加湿が重要となります。ただし、広い工場内全体での加湿は、設備費やランニングコストも考慮しなければならない点に注意が必要です。
湿度管理と違い、除電器はすでに発生してしまった静電気を「イオンの力」で中和して取り除く装置です。プリンターの近くや静電気がたまりやすい印字対象物の周辺に設置することで、リアルタイムに静電気の影響を除去できます。湿度による予防と併用すれば、より効果的な静電気対策となるでしょう。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
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ドミノAxシリーズ Ax150i
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引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由