製造業でよく聞かれるトレーサビリティとはどのようなものか、その仕組みや導入メリット、産業用インクジェットプリンターで構築する方法を解説します。
トレーサビリティ(traceability)は、日本語で「追跡可能性」や「何かを追跡する能力」という意味があります。
量産する製品にロット番号などのコードをつけ、市場に出た製品を追跡調査できるようにした仕組みのことで、製造業では品質管理の一部として知られています。「履歴情報管理」や略して「トレサビ」と呼ばれることもあります。
特に食品など安全管理が重視される製造現場では、安全性を保証する手段としてトレーサビリティが導入されています。
トレーサビリティシステムを導入すれば、使用した原材料や所在、流通経路を把握できます。
例えば牛肉を取り扱う場合、農場から出荷された牛が様々な工程や処理を経て製品となり市場に出回りますが、どこの誰が作ったものなのかが明確でないと、消費者が安心して口にすることができません。
生産・流通データを記録して保管しておけば、万が一の際に「どこが原因で起きたトラブルなのか」を把握できるようになります。
他にも、物の流れや数量を正確に把握できるため、在庫管理が効率化するメリットがあります。
すでに製造業で浸透しているトレーサビリティですが、ビジネスの自動化やIoT・DX化が進むにつれて、今後は様々な業種で広がると考えられています。
データを記録することで万が一の不具合時に対処しやすくなりますし、事業継続で求められる信頼性獲得の観点からも重要です。また、改ざんへの耐性と記録性を持つブロックチェーンの進歩も、トレーサビリティに大きな変化をもたらすと予測されています。
製品を「いつ・誰が作ったか、運んだか」だけでなく、「どこに・どのくらいあるか」といった流動的な管理もできるようになると期待されているところです。
トレーサビリティは、大きく2つのタイプに分かれます。
1つは、複数の製造事業者間での追跡を可能にする「チェーントレーサビリティ」、もう1つめは、自社の製造品を追跡するための「内部トレーサビリティ」です。
製造者ごとの原材料や所在、流通経路や履歴を記録・保管し、消費者に届くまでのすべてのプロセスを製造事業者間で追跡できるシステムです。
製造工程や業界内での規制や取り決めが必要ですが、すでにルールが決まっている場合は導入がしやすいメリットがあります。トレースの範囲を明確にして、段階的に進めることがポイントです。
自社の製品に対し、製造工程ごとに原材料や所在、流通経路を記録して追跡できるようにする方法です。計量に用いる計測機器の校正なども内部トレーサビリティに含まれます。
トレーサビリティシステムにおける主な追跡方法は、以下2つが挙げられます。発生するトラブルの原因によっては2つの方法を組み合わせて不具合の起きた製品を特定し、回収するケースもあります。
トレースバックとは、問題が見つかった工程から徐々に製造を開始するまで遡って追跡する方法です。
トレースフォワードとは、トレースバックとは反対に問題が見つかった工程から徐々に後工程に向かって追跡します。
日本における製造業では、古くからトレーサビリティの考え方が浸透しています。
特に、自動車産業などの工業系分野においては品質管理の一環として、品質マネジメントに関する国際規格「ISO9001」の取得によって、トレーサビリティが構築されてきた経緯がありました。
さらに、自動車業界では製品の不具合を予防し、品質のばらつきや無駄を低減するための品質マネジメントシステムとして国際規格「IATF 16949」が、搭載される部品の個体識別には、2次元コードやRFIDが導入されています。
トレーサビリティは、食品業界でも重要な役割を果たしています。
2001年にBSE(牛海綿状脳症)、いわゆる狂牛病が発生して以降、牛の生産履歴を管理する法律が制定されました。2021年にはHACCPに沿った衛生管理が完全義務化され、トレーサビリティの記録モデルが浸透してきています。
多くの情報を印字できる産業用インクジェットプリンターを導入すれば、様々な場面でトレーサビリティに活用できます。中にはリアルタイムの印字に伴い集計できるシステムが搭載されているプリンターもあり、商品情報や日付、ロットナンバーの印字はもちろん、コードを印字しながら集計をすることができます。
また、幅広い文字サイズや段数の制限なしに大量の文字を印字できる産業用インクジェットプリンターも登場しています。製造した時間やシリアルナンバーをQRコードに集約すれば、販売現場で詳しい商品の案内ができるようになるでしょう。
商品そのものに詳細なトレーサビリティ情報を記録したいと考えているなら、産業用インクジェットプリンターによるトレーサビリティ構築がおすすめです。
大量生産する食品や日用品、工業用製品へ消費期限やロット番号、バーコードなどを印字する産業用インクジェットプリンター。
既に導入しているプリンターの老朽化で故障頻度が上がった、印字品質の向上が必要になった、生産ラインのスピードアップに対応しなければならないなど、企業に応じて課題は様々です。ここでは、解決したい課題に合わせて、おすすめの産業用インクジェットプリンターをご紹介します。
大規模工場の
生産性アップなら
KGK JET CCS7000
(メーカー:紀州技研工業)
引用元:紀州技研工業
https://www.kishugiken.co.jp/product/ccs/
生産性アップにつながる理由
定期的なメンテナンス
コスト削減なら
Gravis UX2-D160J
(メーカー:日立産機システム)
引用元:日立産機システム
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/
コスト削減につながる理由
寒冷地域で印字不良の
頻度を減らすなら
ドミノAxシリーズ Ax150i
(メーカー:ブラザーインダストリアルプリンティング)
引用元:ブラザーインダストリアルプリンティング
https://bipj.brother.co.jp/printer/printer-1004/
印刷不良を減らす理由